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最高裁判所第二小法廷 昭和52年(行ツ)71号 判決 1977年12月23日

上告人 松谷千鶴子

被上告人 大阪市長 大島靖

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の上告理由について

所論は、違憲をもいうが、その実質は単なる法令違反をいうにすぎず、要するに、土地区画整理法二〇条三項所定の利害関係者の意見書に係る意見を採択すべきでない旨の都道府県知事又は指定都市の長(同法一三六条の二第一項)の通知は、行政事件訴訟法(以下「行訴法」という。)三条三項にいう「行政庁の裁決」又は同条二項にいう「行政庁の処分」にあたり取消訴訟によって争いうるものと解すべきであるのに、これを否定した原判決は、行訴法三条二項及び三項の解釈適用を誤ったものである、というに帰する。

土地区画整理法二〇条二項に規定する利害関係者の意見書の提出は、土地区画整理組合を設立しようとする者が定めた事業計画について利害関係者に書面で意見を申し出る機会を与え知事(又は指定都市の長)の監督権の発動を促す途を開いたものであって、行訴法三条三項にいう「審査請求、異議申立てその他の不服申立て」にあたらないから、右意見書に係る意見を採択すべきでない旨の都道府県知事又は指定都市の長の通知が同項にいう「裁決」にあたらないことは明らかである。また、右通知は、利害関係者の法的地位になんら影響を及ぼすものではないから、同条二項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」にもあたらないというべきである。したがって、右通知を取消訴訟によって争うことは許されないというべきであり、これと同旨の原審の判断は正当である。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 大塚喜一郎 裁判官 吉田豊 裁判官 本林譲 裁判官 栗本一夫)

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